韓国語の敬語【丁寧語・尊敬語・謙譲語】の違いと作り方・使い分け
韓国語には、他の言語と比べて厳格な敬語のシステムがあります。
この記事では、韓国語の敬語の種類である「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の違い、そして使い分け方を例文とともに説明します。
韓国では、年齢や地位、関係性に応じて言葉遣いを変えることが求められます。
儒教の影響で目上の人には必ず敬語を使います。
基本的に年齢が自分より1つでも上の相手には敬語を使います。
それは、目上の人と話すときだけではなく、目上の人を話題にするときもです。
また、日本では相対敬語といい目上の人であっても身内は下げるのが一般的ですが、韓国では絶対敬語といい身内であっても目上の人に対しては敬語を使うのが一般的です。
例えば、両親について誰かに話すときや上司について社外の人に話すときも敬語を使います。
韓国語では、目上の人には無条件で敬語を使うものだと覚えておくと無難です。
敬語とは
相手への敬意を表す表現です。
敬語には、敬意の示し方によって丁寧語・尊敬語・謙譲語の3種類があります。
丁寧語
丁寧語とは、相手に対して言葉遣いを丁寧にすることで敬意を表す表現です。
韓国語では、ハムニダ体やヘヨ体の文が丁寧な表現です。
尊敬語
尊敬語とは、相手側を持ち上げることで敬意を表す表現です。
韓国語では、尊敬語を使う場面はたくさんあります。
謙譲語
謙譲語とは、自分側を下げることで敬意を表す表現です。
韓国語では、謙譲語よりも尊敬語を使った表現が多いです。
尊敬語
尊敬語の基本の作り方
語幹 + -(으)시-で作ることができます。
語尾-(으)시-の意味は尊敬を表す(〜なさる、お/ご〜になる、〜でいらっしゃる)です。
敬語では基本的に語尾も丁寧な表現であるハムニダ体やヘヨ体を付けます。
ハムニダ体では、語幹 + -십니다 / -으십니다になります。
ヘヨ体では、語幹 + -세요 / -으세요になります。
語幹・語尾についてはこちらの記事を、ハムニダ体・ヘヨ体についてはこちらの記事を参考にしてください。
尊敬語の用言
元々、尊敬を表す敬語の意味を含んだ用言の単語もあります。
말하다(言う) ー 말씀하시다(おっしゃる)
먹다(食べる) ー 드시다 / 잡수시다(召し上がる)
마시다(飲む) ー 드시다(召し上がる)
자다(寝る) ー 주무시다(お休みになる)
죽다(死ぬ) ー 돌아가시다(亡くなる)
있다(いる) ー 계시다(いらっしゃる)
없다(いない) ー 안 계시다(いらっしゃらない)
これらの単語にはすでに尊敬を表す-(으)시-が含まれているので、ハムニダ体やヘヨ体を付けるときは重複してしまわないように接続します。
말씀하시다(おっしゃる) → 말씀하십니다 / 말씀하세요
잡수시다(召し上がる) → 잡수십니다 / 잡수세요
드시다(召し上がる) → 드십니다 / 드세요
주무시다(お休みになる) → 주무십니다 / 주무세요
돌아가시다(亡くなる) → 돌아가십니다 / 돌아가세요
계시다(いらっしゃる) → 계십니다 / 계세요
안 계시다(いらっしゃらない) → 안 계십니다 / 안 계세요
있다(ある) ー 있으시다 → 있으십니다 / 있으세요
없다(ない) ー 없으시다 → 없으십니다 / 없으세요
尊敬語の名詞
元々、尊敬を表す敬語の意味を含んだ名詞もあります。
나이(年齢) ー 연세(お年)
말(言葉) ー 말씀(お言葉)
밥(ご飯) ー 진지(お食事)
생일(誕生日) ー 생신(お誕生日)
아내(妻) ー 부인(奥様)
이름(名前) ー 성함(お名前)
집(家) ー 댁(お宅)
-가 / -이 어떻게 되다(〜はどのようになりますか?)
よく使われるフレーズなので覚えておきましょう。
연세가 어떻게 되십니까?
연세가 어떻게 되세요?(おいくつでいらっしゃいますか?)
성함이 어떻게 되십니까?
성함이 어떻게 되세요?(お名前は何とおっしゃいますか?)
他にも취미(趣味)とか키(身長)とかを聞きたいときに使えるよ。
元々、尊敬を表す敬語の意味を含んだ依存名詞もあります。
명(名) ー 분(名様)
사람(人) ー 분(方)
씨(さん) ー 님(様)
店員さん : 몇 분 이세요?(何名様ですか?)
お客さん : 네 명이에요.(4名です。)
님を付けて敬意を表す名詞
할아버님(おじい様)
할머님(おばあ様)
부모님(両親)
아버님(お父様)
어머님(お母様)
형님(お兄様)
누님(お姉様)
아드님(ご子息)
따님(娘さん)
왕자님(王子様)
공주님(お姫様)
선생님(先生)
교수님(教授)
박사님(博士)
사장님(社長様)
원장님(院長)
예수님(イエス様)
주님(プロテスタントの神様)
하나님(プロテスタントの神様)
하느님(カトリックの神様)
목사님(牧師、プロテスタントの聖職者)
사제님(司祭、カトリックの聖職者)
신부님(神父、カトリックの聖職者)
부처님(仏様)
タクシーやバスなどの運転手さんのことも기사님って呼ぶよね。
尊敬語の助詞
元々、尊敬を表す敬語の意味を含んだ助詞もあります。
-가 / -이(〜が) ー -께서
-에게 / -한테(〜に、〜から) ー -께
-는 / -은(〜は) ー -께서는
-도(〜も) ー -께서도
謙譲語
謙譲語の動詞
만나다 / 보다(会う) ー 뵈다 / 뵙다(お目にかかる)
말하다(言う) ー 말씀드리다(申し上げる)
주다(あげる) ー 드리다(差し上げる)
묻다(尋ねる) ー 여쭈다 / 여쭙다(伺う)
찾아가다(訪ねて行く) ー 찾아뵙다(伺う)
데리다(連れる) ー 모시다(仕える、お供する)
「처음 뵙겠습니다.(はじめまして←初めてお目にかかります)」って謙譲語の文だったんだね。
-아/어 드리다
目上の人に(〜して差し上げる、お/ご〜する)と表現したいときは、(〜してあげる)に当たる表現「-아/어 주다」の주다を드리다に変えます。
할머니의 가방을 들어 드렸다.(おばあさんの鞄を持って差し上げた。)
어머니를 도와 드렸습니다.(母を手伝って差し上げました。)
생신을 진심으로 축하 드립니다.(心よりお誕生日をお祝い申し上げます。)
생신 축하 드려요.(お誕生日おめでとうございます。)
謙譲語の名詞・代名詞
나(私) ー 저
내(私の) ー 제
내가(私が) ー 제가
우리(私たち) ー 저희
말(言葉) ー 말씀
말씀は말(言葉)の尊敬語でもあり謙譲語でもあるよ。
무슨 말씀을요.(何をおっしゃいますか。)←相手の言葉なので尊敬語として
드릴 말씀이 있어요.(お話があります。)←自分の言葉なので謙譲語として
尊敬語と謙譲語の使い分け
尊敬語と謙譲語の使い分けは動詞に注目すると分かりやすいです。
目上の人が動詞の主語のときは尊敬語を使います。
自分が動詞の主語のときは謙譲語を使います。
尊敬語の例文
어머니께서 나에게 선물을 주셨어요.(母が私にプレゼントをくださいました。)
この文では、目上の人である母が動詞の主語です。
なので、動詞주다(くれる)は주시다(くださる)と尊敬語を使います。
謙譲語の例文
나는 어머니께 선물을 드렸어요.(私は母にプレゼントを差し上げました。)
この文では、自分が動詞の主語です。
なので、動詞주다(あげる)は드리다(差し上げる)と謙譲語を使います。
敬語とため口の語彙
높임말(敬語)
존댓말(敬語)
존대어(敬語)
존경어(敬語)
경어(敬語)
말을 높이다(言葉を高める→敬語を使う)
반말(ため口)
반말모드 / 반모(ため口モード)
말을 낮추다(言葉を低くする→ため口を使う)
말을 내리다(言葉を下げる→ため口を使う)
말을 놓다(言葉を置く→ため口を使う)
말을 트다(言葉を開く→ため口を使う)
말이 짧다(言葉が短い→ため口をたたく)
敬語からため口へ
目上の人には敬語を使うのが基本ですが、親しくなると敬語じゃなくてもいいか確認しあって、お互いが納得すると敬語を使わなくていい関係になります。
敬語を使わずに話して欲しいとき
下記は「敬語を使わないでください。」や「ため口で大丈夫ですよ。」といった意味の表現です。
말씀 편하게 하세요.
말씀 낮추세요.
말씀 놓으세요.
말 놓으세요.
말 놓아도 돼요.
말 놓아도 괜찮아요.
말을 놓으십시오.
敬語を使わずに話したいとき
下記は「敬語を使わなくてもいいですか?」や「ため口にしましょう。」といった意味の表現です。
말 놓아도 돼요?
말을 놓을까요?
반말로 하자.
반모하세요.
반모해도 돼요?
まとめ
いかがだったでしょうか?
韓国語の敬語である丁寧語・尊敬語・謙譲語の違い、そして使い分け方を例文とともに説明しました。
韓国語の敬語は複雑ですが、相手に対する敬意を示すための大切な要素です。
日本では丁寧語で何とかなることもありますが、韓国では日本以上に敬語を重要視しているので、正しい敬語を使えるようになる必要があります。
敬語を使う機会なんてなさそうだしって思われる方もいるかもしれませんが、韓国旅行に行くとホテルのスタッフやお店の店員さんなどは敬語で話してきます。
敬語を正しく理解し適切に使い分けることで、より良いコミュニケーションを図ることができます。
資格試験でも言い換えられた表現で出題されることも多いです。
特に敬語の意味を含んだ単語は知らないと何のことか分からないと思うので覚えておくようにしましょう。
さらっと敬語を使えるようになると素敵ですね。