韓国語の文字【ハングルの仕組み】母音・子音・パッチムの発音について
この記事では、韓国語の文字であるハングルについて紹介します。
最初は記号のようにしか見えないかもしれません。
特に合成母音やパッチムは初心者がつまずきやすいところです。
文字は基礎の基礎ですので、しっかり学習しましょう。
ハングルの読み書きは仕組みさえ分かれば簡単です。
おすすめの本を紹介しておきます。
ハングル(한글)
韓国語を表記するための文字です。
日本で言うところの平仮名・カタカナのようなものです。
ハングルには3種類の語彙があります。
- 固有語(もともと韓国のもの)
- 漢字語(中国の漢字由来のもの)
- 外来語(中国以外の他国から入ってきたもの)
ちなみに一番多いのは漢字語だよ。
漢字語は、日本語と発音がよく似ているものやほとんど同じものがたくさんあります。
감사(感謝)、가족(家族)、기분(気分)
漢字語を覚えておくと、単語が覚えやすくなるのはもちろんのこと、初見の単語であっても単語の意味を予測することが可能な場合もあり、韓国語の語彙を増やすのに非常に役に立ちます。
由来
李氏朝鮮の第4代国王である世宗大王(세종대왕)がハングルについて解説した書物「訓民正音(훈민정음)」を1446年10月9日に公布しました。
目的は、当時の韓国民が漢字を使うことに苦労していたため、より簡単に読み書きできるようにすることでした。
その後、偉大なる文字を意味する『한글(ハングル)』と呼ばれるようになります。
それを記念して10月9日は「한글날(ハングルの日)」と呼ばれ、韓国の祝日です。
10,000ウォン紙幣に肖像画が描かれている人が世宗大王だよ。
仕組み
ハングルはアルファベットのように文字そのものが音を表す表音文字です。
母音21個と子音19個を組み合わせて作ります。
1つの文字は母音と子音を最低一つずつ組み合わせます。
文字は必ず子音から始まり、「子音+母音」もしくは「子音+母音+子音」の形で成り立っています。
縦線が長い母音は右に、
横線が長い母音は下に来ます。
最初の子音を初声(초성)、母音を中声(중성)、最後の子音を終声(종성)もしくはパッチム(받침)と呼びます。
1文字が1音節を表します。
감사합니다 5文字
kam/sa/ham/ni/da 5音節
母音(모음)
「天(・)地(ㅡ)人(ㅣ)」の東洋思想に基づいて作られました。
母音は、基本母音10個と合成母音11個の計21個あります。
母音のみの発音は、初声では無音のㅇと組み合わせた文字で表します。
構造的に「基本母音」と「合成母音」に分かれます。
基本母音
- ㅏ [ a ] → 口を縦に開けて「ア」
- ㅑ [ ya ] → 口を縦に開けて「ヤ」
- ㅓ [ eo ] → 口を縦に開けて「オ」
- ㅕ [ yeo ] → 口を縦に開けて「ヨ」
- ㅗ [ o ] → 口を丸くすぼめて「オ」
- ㅛ [ yo ] → 口を丸くすぼめて「ヨ」
- ㅜ [ u ] → 口を丸くすぼめて「ウ」
- ㅠ [ yu ] → 口を丸くすぼめて「ユ」
- ㅡ [ eu ] → 口を横に引いて「ウ」
- ㅣ [ i ] → 口を横に引いて「イ」
「ㅓとㅗ」、「ㅕとㅛ」、「ㅜとㅡ」は注意が必要です。
口の形に注意して発音することで、しっかりと区別して身に付けましょう。
合成母音
- ㅐ [ ae ] → 「エ」(ㅔより口を開いて)
- ㅒ [ yae ] → 「イェ」(ㅖより口を開いて)
- ㅔ [ e ] → 「エ」
- ㅖ [ ye ] → 「イェ」
- ㅘ [ wa ] → 「ワ」
- ㅙ [ wae ] → 「ウェ」
- ㅚ [ oe ] → 「ウェ」
- ㅝ [ wo ] → 「ウォ」
- ㅞ [ we ] → 「ウェ」
- ㅟ [ wi ] → 「ウィ」
- ㅢ [ ui ] → 口を横に引いて「ウイ」
「ㅐとㅔ」、「ㅒとㅖ」、「ㅙとㅚとㅞ」は発音上の区別は殆どされなくなっていますが、単語の表記は区別し正確に覚えるようにしましょう。
子音(자음)
口の形と舌の位置など発音器官に基づいて作られました。
子音は、基本子音(平音9個と激音5個)14個と合成子音(濃音)5個の計19個あります。
音声学的に「平音」「激音」「濃音」の3つのカテゴリに分類されます。
平音(평음)
ㄱ、ㄷ、ㅂ、ㅈは語頭以外では濁って発音します。
- ㄱ(기역)[ k/g ]
- ㄴ(니은)[ n ]
- ㄷ(디귿)[ t/d ]
- ㄹ(리을)[ r ]
- ㅁ(미음)[ m ]
- ㅂ(비읍)[ p/b ]
- ㅅ(시옷)[ s ]
- ㅇ(이응)[ – ]
- ㅈ(지읒)[ ch/j ]
激音(격음)
息を強く吐いて発音します。
ティッシュを口の前に垂らして、
そのティッシュが揺れるように練習します。
- ㅊ(치읓)[ ch ]
- ㅋ(키읔)[ kʰ ]
- ㅌ(티읕)[ tʰ ]
- ㅍ(피읖)[ pʰ ]
- ㅎ(히읗)[ h ]
濃音(경음)
前に「っ」が付くように息を漏らさずに詰まらせて発音します。
ティッシュを口の前に垂らして、
そのティッシュが揺れないように練習します。
- ㄲ(쌍기역)[ kk ]
- ㄸ(쌍디귿)[ tt ]
- ㅃ(쌍비읍)[ pp ]
- ㅆ(쌍시옷)[ ss ]
- ㅉ(쌍지읒)[ cch ]
パッチム(받침)
パッチムは子音と母音で構成された文字の下につく子音のことです。
「받침」は「支え」という意味で、「받치다(支える)」からきています。
パッチムとして使われる子音は、一重パッチム14個と双パッチム2個と二重パッチム11個の計27個です。
一重パッチム(홀받침)
ㄱ、ㄴ、ㄷ、ㄹ、ㅁ、ㅂ、ㅅ、ㅇ、ㅈ、ㅊ、ㅋ、ㅌ、ㅍ、ㅎ
双パッチム(쌍받침)
ㄲ、ㅆ
二重パッチム(겹받침)
ㄳ、ㄵ、ㄶ、ㄺ、ㄻ、ㄼ、ㄽ、ㄾ、ㄿ、ㅀ、ㅄ
パッチムの発音
パッチムは27個ですが、実際の発音は代表音7種類に分類されます。
- ㄱ [ k ] ← ㄱ、ㄲ、ㅋ、ㄳ、ㄺ → 喉の奥をふさいで音を止める、口は開いたまま
- ㄴ [ n ] ← ㄴ、ㄵ、ㄶ → 舌先を前歯の裏にあて音を止める
- ㄷ [ t ] ← ㄷ、ㅅ、ㅆ、ㅈ、ㅊ、ㅌ、ㅎ → 舌先を前歯の裏にあて音を止める
- ㄹ [ l ] ← ㄹ、ㄼ、ㄽ、ㄾ、ㅀ → 舌先を口の天井に付ける
- ㅁ [ m ] ← ㅁ、ㄻ → 唇を閉じて音を止める
- ㅂ [ p ] ← ㅂ、ㅍ、ㄿ、ㅄ → 唇を閉じて音を止める
- ㅇ [ ng ] ← ㅇ → 喉の奥をふさいで音を止める、口は開いたまま
선생님(先生)という単語には、パッチムが3つ登場します。
「 ㄴ ㅇ ㅁ 」それぞれの正しい発音と表記で覚えましょう。
くれぐれも「ソンセンニン」とカタカナ読みしないようにしてください。
二重パッチムの発音
二重パッチムの内、ㄺ、ㄻ、ㄿの3個だけが右の文字を発音します。
他の二重パッチムは左の文字を発音します。
밟다 [ 밥ː따 ](踏む)
まとめ
いかがだったでしょうか?
ハングルのいいところは、仕組みが分かると読める点です。
非常に論理的な文字体系で、音節ごとに構造が明確です。
子音や母音の発音を理解し、パッチムの特性を把握することで、韓国語の読み書きがよりスムーズになります。
初心者でも比較的短期間で習得できるため、ぜひ挑戦してみてください。
私は電車の中で表示される駅名などでも読む練習をしました。
最初は何て読むんだろうって考えている内に表示が変わってしまったり……
慣れると瞬時に読めるようになるので皆さんも화이팅!
ハングルを学ぶことは、韓国文化やコミュニケーションの理解を深める素晴らしい第一歩です。